インサイドセールスの立ち上げ方法とは?失敗しないための組織構築の手順を解説

インサイドセールスの立ち上げ方法とは?失敗しないための組織構築の手順を解説

資料請求のフォロー漏れ対策や、セミナー・展示会のフォロー体制の強化を目的に、インサイドセールスを立ち上げる企業増えております。しかし、インサイドセールスチームを立ち上げようと思っても、どういった流れで進めたら良いかご存じでしょうか?

インサイドセールスの役割の範囲を明確にせずに立ち上げると、想定していた効果がでずに失敗してしまうことも少なくありません。本記事では、インサイドセールスの立ち上げの手順と確認すべきポイントについて解説いたします。

目次

インサイドセールスとは?

インサイドセールスは、主に電話やメール、オンラインツールを活用して社内から行う営業活動を指します。顧客との直接的な対面を必要とせず、効率的にリードを獲得し、商談を進めることができるのが特徴です。その主な目的は、新規リードの獲得と育成、既存顧客のフォローアップと関係強化、商談の創出と初期段階での対応、そしてフィールドセールスのサポートと効率化にあります。

インサイドセールスを導入することで、企業はコスト削減や営業プロセスの効率化を実現できます。さらに、データに基づいた戦略立案が可能となり、より効果的な営業活動を展開できるでしょう。

インサイドセールスの概要については以下の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

【関連記事】:インサイドセールスとは?業務内容・メリット・立ち上げ方を徹底解説

インサイドセールスの立ち上げ手順

インサイドセールスの立ち上げは、段階的に進めていくことが重要です。以下に、主要な手順を示します。

  1. インサイドセールスの戦略・設計
  2. ターゲット選定・営業手法の確認
  3. インサイドセールスとフィールドセールスの活動範囲の確認
  4. インサイドセールスのKPIを設定
  5. 人材配置・組織編制の立ち上げのポイント
  6. その他確認事項

それぞれ、詳しく解説していきます。

インサイドセールスの戦略・設計

インサイドセールスの立ち上げにあたっては、まず業界や自社商材について分析するところから始めます。この段階で重要なのは、自社商材のコアコンピタンスを把握し、カスタマージャーニーを把握することです。

自社商材の強み・弱みの把握

自社の商品やサービスの強みと弱みを分析し、顧客にとっての価値提案を明確にすることが重要です。例えば、「他社にはない独自技術」や「圧倒的なコストパフォーマンス」など、自社商材の特徴を明確に把握しましょう。これにより、インサイドセールスのトーク内容や提案の方向性が定まり、効果的なアプローチが可能となります。

カスタマージャーニーの把握

顧客の購買意思決定プロセスを理解し、各タッチポイントを特定することが重要です。例えば、「情報収集段階」「比較検討段階」「意思決定段階」など、顧客がどのような段階を経て購買に至るのかを明確にします。そして、それぞれの段階で顧客が求める情報や支援を把握し、適切なアプローチ方法を設計しましょう。

ターゲット選定・営業手法の確認

次に重要なのは、ターゲットの選定と営業手法の選択が鍵となります。

ターゲット企業の選定

理想的な顧客像(ペルソナ)を作成し、ターゲット企業のリスト化と優先順位付けを行います。例えば、「従業員数100人程度の製造業」や「年商10億円以上のIT企業」など、具体的な基準を設定しましょう。これにより、効率的なアプローチが可能となり、成約率の向上につながるでしょう。

営業手法選定

電話、メール、ウェビナーなど、適切な手法を選定し、各手法の特性を活かした活用シーンを設計します。例えば、初期接触は電話で行い、詳細な情報提供はメールで、製品デモはウェビナーで実施するなど、段階に応じて最適な手法を組み合わせることが効果的です。

インサイドセールスとフィールドセールスの活動範囲の確認

インサイドセールスとフィールドセールスの担当範囲を明確化し、引き継ぎポイントと基準を設定することが重要です。先述の連携の型がこちらに当たります。どのタイミングでフィールドセールスに引き継ぐかを明確化することでスムーズな連携が可能となります。

インサイドセールスの効果を最大限に引き出すには、フィールドセールスとの適切な連携が不可欠です。両者の役割を明確に分担し、それぞれの強みを活かすことで、営業活動全体の効率と効果を高めることができます。

連携のメリット

フィールドセールスとの連携には、様々なメリットがあります。ここでは以下の3点について解説します。

  • フィールドセールスリソースの最適化の実現
  •  リードの取りこぼし(未フォローリード)を削減できる
  • 営業課題の見える化

まず、フィールドセールスのリソース最適化が実現できます。インサイドセールスが初期対応や基礎的な情報収集を担当することで、フィールドセールスは重要な商談や複雑な提案に集中できるようになります。

また、リードの取りこぼしを削減できるのも大きな利点です。インサイドセールスが継続的にフォローすることで、これまで見逃されていた潜在的な商談機会を発掘し、成約につなげられる可能性が高まります。

さらに、営業課題の可視化も進みます。インサイドセールスとフィールドセールスの連携を通じて、商談プロセスの各段階での課題や改善点が明確になり、より効果的な営業戦略の立案につながるでしょう。

連携の型

組織構築の型特徴適している商材・業界
インサイドセールスからフィールドセールスにトスする型インサイドが初期接触・情報収集を担当し、フィールドが商談・クロージングを担当高額・複雑な商材、B2B向け製品・サービス
一部インサイドセールスがクロージングする型インサイドが初期接触から一部クロージングまで担当し、複雑な案件のみフィールドが担当中小規模の取引、標準化された製品・サービス
インサイドセールスだけで完結する型すべての営業プロセスをインサイドセールスで完結低価格のSaaS、オンラインサービス、標準化された商品

インサイドセールスとフィールドセールスの連携には、主に3つの型があります。それぞれの型は、商材や業界の特性に応じて選択されます。

まず、「インサイドセールスからフィールドセールスにトスする型」は、高額で複雑なB2B向け製品やサービスに適しています。インサイドセールスが初期接触と情報収集を担当し、フィールドセールスが本格的な商談とクロージングを行います。

次に、「一部インサイドセールスがクロージングする型」は、中小規模の取引や標準化された製品・サービスに向いています。この型では、インサイドセールスが初期接触から一部のクロージングまで担当し、複雑な案件のみをフィールドセールスが担当します。

最後に、「インサイドセールスだけで完結する型」は、低価格のSaaSやオンラインサービス、高度に標準化された商品に適しています。全ての営業プロセスをインサイドセールスで完結させることができます。

これらの連携型の中から、自社の商材や顧客特性に最も適したものを選択することが重要です。適切な型を選ぶことで、効率的な営業活動と高い成果が期待できるでしょう。

連携の際のポイント

連携を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは以下の3点について解説いたします。

  • しっかりリードを育成してからフィールドセールスに渡す
  • 商談内容をナレッジ化しインサイドセールスに生かす
  • MA/SFA/CRMツールで情報共有を徹底する

まず、しっかりとリードを育成してからフィールドセールスに渡すことが大切です。インサイドセールスが十分な情報を収集し、見込み客の状況を適切に評価した上で引き継ぐことで、フィールドセールスの効率が大幅に向上します。

次に、商談内容をナレッジ化しインサイドセールスに活かすことも重要です。フィールドセールスが得た情報やインサイトをインサイドセールスと共有することで、より効果的なアプローチやトーク内容の改善につながります。これにより、全体的な営業力の向上が期待できるでしょう。

最後に、MA/SFA/CRMツールで情報共有を徹底することが挙げられます。これらのツールを活用することで、リアルタイムでの情報共有が可能となり、インサイドセールスとフィールドセールス間のコミュニケーションがスムーズになります。結果として、顧客対応の質が向上し、成約率の向上にもつながるでしょう。

インサイドセールスとフィールドセールスの連携についても、以下の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

関連記事】 インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは?役割から業務内容、分業方法まで徹底解説

インサイドセールスのKPIを設定

目標設定段階では、KPIの設定とトスアップ基準の設定が重要です。

KPI設定

定量的指標と定性的指標の両方を設定することが大切です。例えば、以下のような指標が考えられます。

定量的指標の例:

  • 架電数:100件/日
  • 担当者接続数:10件/日
  • 新規リード獲得数:100件/月
  • 商談化率:20%
  • 成約率:5%

定性的指標としては、顧客満足度や商談の質などが挙げられます。これらの指標を定期的に測定し、改善につなげていくことが重要です。

トスアップ基準設定

フィールドセールスへの引き継ぎ基準を明確化し、引き継ぎ時の情報共有フォーマットを作成します。例えば、「予算確認済み」「決裁者とのアポイント取得済み」といった具体的な基準を設けることで、質の高いリードをフィールドセールスに引き継ぐことができるでしょう。

人材配置・組織編制の立ち上げのポイント

組織編制段階では、適切な人材の選定と教育・フィードバック体制の構築が重要です。

営業担当者の選定

インサイドセールスに求められる人材像と必要なスキルを明確にし、内部異動と外部採用のバランスを検討します。例えば、コミュニケーション力、ITリテラシー、商品知識などが重要なスキルとして挙げられるでしょう。内部異動の場合は既存の商品知識を活かせる一方、外部採用では新しい視点や経験を取り入れられるため、両者のバランスを考慮することが大切です。

教育・FB体制構築

効果的な初期研修プログラムを設計し、継続的なスキルアップ支援と評価フィードバック体制を構築します。例えば、商品知識や業界動向、トーク術などの初期研修を行い、その後も定期的なロールプレイングやベストプラクティスの共有セッションを実施するといった方法が考えられます。また、定期的な1on1ミーティングを通じて、個々の課題に対応したフィードバックを行うことも重要でしょう。

そのほか確認事項

ここではそれ以外に決定するべき事項を列挙します。

使用ツール選定

CRM/SFAなど必要なツールの選定基準を定め、導入スケジュールと教育計画を策定しましょう。ツール選定の際は、使いやすさ、他システムとの連携性、カスタマイズ性などを考慮しましょう。例えば、以下のような基準で選定を行うことができます。

  • 操作性:直感的なUI、学習コストの低さ
  • 機能性:必要な機能が揃っているか、将来的な拡張性
  • 連携性:既存のシステムとの連携がスムーズか
  • コスト:初期費用、運用コスト、ROIの見込み

選定後は、段階的な導入計画を立て、十分な教育期間を設けることが重要です。

スクリプト・マニュアル作成

基本的な会話スクリプトの作成や、FAQ集、商品知識マニュアルの整備を行います。スクリプトは柔軟性を持たせ、状況に応じて適切に対応できるようにすることが大切です。また、FAQは頻繁に更新し、最新の情報を常に反映させるようにしましょう。

インサイドセールス立ち上げのポイント

ここでは、インサイドセールスを効果的に立ち上げるためのポイントを解説いたします。

ツールを活用する

データ分析ツールを活用して効果測定を行い、常に改善点を探ることが大切です。例えば、コール数と成約率の相関関係を分析し、最適なアプローチ回数を見出すといった具合です。また、ナレッジ管理ツールを使用して、成功事例や失敗事例を共有し、組織全体のスキルアップにつなげていきましょう。さらに、コミュニケーションツールを活用して、チーム内や他部署との情報共有を円滑に行うことも重要です。

他部署との連携を密に行う

マーケティング部門との協力体制を構築し、リードの質の向上や効果的なナーチャリングを実現しましょう。例えば、マーケティングオートメーションツールを活用して、リードスコアリングを行い、インサイドセールスの対応優先度を決定するといった連携が考えられます。

カスタマーサポート部門との情報連携も重要です。顧客の問い合わせ内容や満足度などの情報を共有することで、より適切なアプローチや提案が可能となるでしょう。

そして、先述のフィールドセールス部門との分業も忘れずに。両者が密に連携することで、商談の質と効率を高めることができます。

振り返りを行いPDCAを回す

定期的な成果レビューと課題抽出を行い、改善策を立案して迅速に実行することが重要です。例えば、月次で KPI の達成状況を確認し、未達の項目については原因分析を行い、改善策を検討・実施するといったサイクルを回しましょう。この際、チーム全体で議論を行い、現場の声を十分に反映させることが大切です。

要点を押さえて効果的なインサイドセールスチームを立ち上げましょう

インサイドセールスの立ち上げには、綿密な計画と段階的なアプローチが欠かせません。自社の状況や目標を明確にし、それに合わせた戦略を立てることが重要です。また、フィールドセールスとの連携を意識し、組織全体としての営業力向上を目指すことが成功の鍵となるでしょう。

ツールの活用、他部署との連携、そして継続的な改善サイクルの実施。これらのポイントを押さえることで、効果的なインサイドセールスチームを構築し、営業成果の向上につなげることができます。立ち上げには時間と労力がかかりますが、長期的な視点で取り組むことで、必ず成果は表れるはずです。ぜひ、本記事で紹介したポイントを参考に、自社に最適なインサイドセールス体制の構築に取り組んでみてください。

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