営業とマーケティングの兼任業務のリスクとは?課題と解決策を解説

営業とマーケティングの兼任業務のリスクとは?課題と解決策を解説

多くのBtoBマーケティングを取り組む企業では、営業とマーケティングを兼任せざるを得ないケースがあります。しかし、この兼任には様々な課題が潜んでいます。本記事では、営業とマーケティングの兼任が引き起こす問題点と、それらを克服するための実践的な対策を詳しく解説します。

目次

BtoBマーケティングを取り組む上でよくある兼任問題

営業とマーケティングの兼任は、多くのBtoBマーケティングを取り組む企業で見られる課題です。結論から言えば、理想は営業とマーケティングが分業した方が良いと考えております

とはいえ、マーケティングの部署を作るというのは、すぐに実行することは難しく、営業とマーケティングを兼任している企業は少なくありません。今まで、BtoBマーケティングを取り組んでいなかった企業の場合だと、まずは営業が小さく初めて成果を出し、社内に理解を広めるといったケースも少なくありません。

ある意味、営業とマーケティングの兼任問題は、BtoBマーケティングを社内に浸透させる一歩と思って大丈夫です。

営業とマーケティングが兼任される理由

ではなぜ、多くのBtoBマーケティングを取り組む企業では営業とマーケティングが兼任されることが多いのでしょうか。

以下の2点が主な理由です。

  • BtoBマーケティングの成果が出るかわからない(成功体験がない)
  • 営業業務の方が緊急度が高く売上に直結する

BtoBマーケティングの成果が出るかわからない(成功体験がない)

BtoBマーケティングの成果が見えにくいことも、兼任が行われる理由の一つでしょう。マーケティング活動の効果は、往々にして長期的に現れるものです。そのため、日々の業務の中で成果を実感しづらく、優先度が下がってしまうのです。

例えば、次のようなマーケティング施策があるとします。

  • コンテンツマーケティング(ブログ記事の執筆、ホワイトペーパーの作成など)
  • SEO対策
  • 展示会マーケティング
  • メールマーケティング

これらの施策は、即座に売上につながるわけではありません。しかし、長期的には見込み客の獲得や顧客との関係構築に大きく貢献します。

ただし、その効果を数値化するのは容易ではありません。それでも、以下のような指標を設定し、定期的に測定することで、マーケティング活動の成果を可視化することができます。

  • 名刺交換数
  • メール開封数
  • PV数
  • 問い合わせ数
  • 商談化率
  • 成約率

これらの指標を継続的に追跡することで、マーケティング活動の効果を徐々に把握できるようになるでしょう。ただし、これには時間と労力が必要です。営業業務との兼任では、こうした地道な作業に十分な時間を割くことが難しくなってしまうのです。

営業業務の方が緊急度が高く売上に直結する

BtoBビジネスを手掛ける企業、とりわけWEBを通じた集客がまだ軌道に乗っていない会社では、営業部門の社員がマーケティングの仕事も担当するケースが少なくありません。

しかしながら、日々の業務を見てみると、営業関連の仕事はマーケティング業務と比較して、緊急性の高いものが多いのが実情です。その結果、マーケティングに関する仕事が後回しにされがちな傾向があります。

項目営業マーケティング
成果の現れ方即時的長期的
主な指標売上、成約率資料請求・問い合わせ
タスクの緊急度高い営業より低い
顧客との接点直接的間接的

具体例を挙げてみましょう。

SEO対策やメールマガジンの配信といったマーケティング活動よりも、見込み顧客への電話連絡の方が、直接的に商談の機会を生み出す可能性が高いのです。

さらに言えば、電話よりも現在商談中の顧客に対して丁寧なフォローアップを行う方が、短期的な売上増加につながりやすいでしょう。

このように、即効性のある成果が求められる営業活動と、じっくりと時間をかけて効果を出すマーケティング業務では、タスクの優先度付けに大きな差異が生じます。両者の特徴を比較した表を以下に示します。

このような違いが、営業担当者がマーケティング業務を兼任する際の課題となっているのです。

営業とマーケティングを兼任した場合の注意点

営業とマーケティングの兼任は、一見効率的に思えるかもしれません。しかし、実際には多くの課題が潜んでいます。以下に、兼任する際に特に注意すべき点を3つ挙げてみましょう。

  • 営業業務が優先されがち
  • マーケティング施策が後回しになりがち
  • 上長に評価されづらい

営業業務が優先されがち

営業担当者がマーケティング業務も担当すると、必然的に本来の営業活動に割ける時間が減少します。具体的には、以下のような影響が考えられます。

  • 見込み客への架電時間の減少
  • 商談回数の低下
  • 既存顧客のフォローアップの質の低下

多くの企業では、営業担当者の評価が月次や四半期ごとの売上実績に基づいて行われます。そのため、マーケティング業務に時間を取られることで営業成績が落ちてしまうと、担当者にとっては死活問題となりかねません。

そのため、先述のようにマーケティングが後回しになってしまうため、兼任が効果的に粉われなくなってしまうのです。

マーケティング施策が後回しになりがち

マーケティングは、長期的な視点で取り組むべき業務です。初期投資として時間と費用を要するうえ、その成果が即座に売上に反映されるとは限りません

このため、短期的な成果を求められがちな営業担当者にとっては、マーケティング業務が「売上に直結しない仕事」と認識されてしまうことがあるのです。

実際、マーケティング施策が結果を出すまでには、半年以上、場合によっては1〜2年程度かかることも珍しくありません。例えば、以下のようなマーケティング活動は、即効性は低いものの長期的には大きな効果をもたらす可能性があります。

  • ブランディング戦略の構築と実施
  • コンテンツマーケティングの展開
  • WEBサイトのSEO最適化
  • ソーシャルメディアを活用した認知度向上

これらの施策は、継続的かつ集中的に取り組む必要があります。しかし、兼任状態では「片手間」になりがちで、十分な成果を上げることが難しくなってしまうのです。

上長に評価されづらい

営業担当者がマーケティング業務も担当するようになるケースが多いでしょう。この場合、上司や現場のメンバーの間で、マーケティングに対する理解が不足していることがあります。

営業活動の重要性は誰もが理解していますが、マーケティングの価値は見えにくいものです。そのため、「営業がおろそかになるくらいなら、マーケティングを推進する意味はない」といった声が上がりやすくなります。

例えば、次のような状況が想定されます。

上司:「なぜ先月は営業の成績が落ちたんだ?」

担当者:「マーケティング施策の立案と実施に時間を取られて…」

上司:「そんなの後回しでいい。まずは目の前の売上だ!」

このような会話は往々にして存在し、担当者はマーケティング業務に取り組む意欲を失ってしまう可能性があります。結果として、マーケティング施策が表面的なものになり、実質的な効果を生み出せなくなってしまいます。これにより、新規顧客の獲得機会を逃したりする恐れがあります。

営業とマーケティングはそれぞれ独立するべき

これまで見てきたように、営業とマーケティングの兼任には課題が多いのが現状です。両者の役割や求められるスキル、そして成果の現れ方が大きく異なるため、それぞれ独立して機能させることが望ましいでしょう。

しかし、現実には「マーケティングの重要性が認められづらい」「人員や予算の制約がある」といった理由で、独立が難しいケースも多くあります。そんな場合は、以下の方法を参考にしてみてください。

  • 社内にマーケティングに対する理解を得る方法
  • 外注を頼る方法

社内にマーケティングに対する理解を得る方法

マーケティングの重要性を組織内で浸透させるには、コツコツとした取り組み(いわゆる社内営業)が欠かせません。華々しい宣伝活動や話題性のあるプロモーションに目を奪われがちですが、実際に効果を発揮するのは日々の細やかな改善と、その積み重ねなのです。

「メールマガジンを見てくれた人が問い合わせしてくれた」といった成果でも、きちんと社内で共有する価値があります。

これらの地道な進展を適切にアピールすることで、マーケティングの実質的な貢献が徐々に認知されていくのです。

特に重要なのが、直属の上司との信頼関係構築です。上司は有益な情報を提供してくれるだけでなく、組織内での調整役としても機能します。そのため、まずは上司の信頼を勝ち取ることに注力しましょう。

具体的には、四半期から半年程度の期間で「この部下なら結果を出せる」と確信させることを目標にします。即効性のある大きな成果が出なくても、粘り強く努力する姿勢を示すことで、より長期的な視点での評価につながる可能性があります。

ただし、注意すべき点もあります。

上司への報告を怠り、独自の判断でマーケティング施策を実行するのは避けましょう。

「独断専行ではないか」、「営業活動をおろそかにしているのではないか」という不信感を招き、評価を下げかねません。まずは上司との信頼関係を築くことから始め、段階的にマーケティングの価値を組織全体に浸透させていくアプローチが効果的です。

このように、小さな成功体験を積み重ね、適切なコミュニケーションを通じて組織の理解を得ていくことが、マーケティング部門の地位向上につながるのです。

外注を頼る方法

社内のリソースが限られている場合、マーケティング業務の一部または全部を外部の専門家に委託することも効果的な選択肢となります。外注を活用することで、様々なメリットが期待できるでしょう。

まず、マーケティングの専門家やBPO業者は最新のトレンドや効果的な戦略に精通しています。知見を借りることで、質の高いマーケティング活動を展開できる可能性が高まるでしょう。また、営業部門は本来の業務に集中し、マーケティングは外部のプロフェッショナルに任せることで、双方の効率を高められるというメリットもあります。

また、兼任することによって起こっていた問題が解消されます。例えば、営業担当者がマーケティング業務に時間を取られて本来の営業活動が疎かになる事態について、マーケティング業務を外注することで営業に注力することができるため、解決につながります。

結果として、営業とマーケティング双方の質が向上し、企業全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。

ただし、外注を検討する際はいくつかの注意点があります。まず、外注にかかるコストと得られる成果を常に比較検討する必要があります。また、外部の専門家と自社のチームとのコミュニケーションも重要です。緊密な情報交換や目標の共有がなければ、期待通りの成果を得ることは難しいでしょう。

外注を活用する際は、自社の状況や目標をしっかりと把握した上で、適切なパートナーを選択することが成功の鍵なります。短期的な成果だけでなく、長期的な関係構築を視野に入れて外注先を選ぶことで、より効果的なマーケティング戦略を展開できるはずです。

営業とマーケティングは兼任せずそれぞれの担当者を定めましょう

営業とマーケティングはその役割や業務内容に大きな違いがあり、兼任すると望んだ結果が得られないことが多いです。両部門で結果を出すためには、それぞれの担当者を定め、各々の業務に専念させることが重要です。

自社の状況に応じて、リソースの確保や連携の方法を確立させ、効果的な施策実施を行いましょう。

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