【BtoB企業向け】ベンチャー企業が知るべきBtoBマーケティング戦略の考え方とは?
ベンチャー企業が成功するためには、適切なマーケティング戦略が不可欠です。この記事では、マーケティング戦略の要点を説明し、成功したベンチャー企業の事例を紹介します。自社のマーケティング戦略を検討する際に、参考にしてください。
ベンチャー企業が成功するためのマーケティング戦略とは?
ベンチャー企業が成功するためのマーケティング戦略とは、事業フェーズに合わせて、短期施策(刈り取り施策)と中長期施策(資産性のある施策)のバランスを意識しながら、戦略を立てることです。
新しくスタートアップを始めたベンチャー企業は、多くの顧客を獲得するためにはマーケティング戦略が必要ですが、事業フェーズにより打つべき施策は異なります。
ターゲットやペルソナは仮設の場合であれば、まずは顧客獲得を優先する短期施策、すでに理想の顧客増ができており、事業拡大を狙いたい場合は、資産性のある中長期施策を打つことが重要です。
しかしながら、ベンチャー企業では、マーケティング人材の確保ができていない企業も多く、実務に苦労している人もいるかもしれません。
この記事では、そのような課題に直面している方々に向けて、マーケティング戦略の重要なポイントを解説し、成功したベンチャー企業の事例や留意点などをお伝えします。実務に悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
ベンチャー企業がマーケティング戦略を行う上での課題
ここではベンチャー企業がマーケティング戦略を行う上での課題について解説していきます。
マーケティング予算が限られている
マーケティング活動の多様化は、多くの施策への投資が必要ということを示しています。2011年に実施されたコムエクスポジアム・ジャパン株式会社のアンケート調査によると、次の結果が得られました。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000013647.html
40. 5%が「2022年に広告・マーケティング予算を増加する」と回答し、「減少する」と回答した15.5%を大きく上回っています。このため、企業はマーケティング予算を増やす方向性にあるため、事前に予算を確保する必要があります。
しかしながら、適切な予算を確保することは容易ではないのが現状です。スタートアップやSMB(中小企業)など、資金に余裕がない企業の場合、巨額なマーケティング予算を確保することは一層困難になるでしょう。
優秀な人材がいない(1人社長)
少子高齢化に伴い、企業にとって人材獲得は喫緊の課題となっております。特にマーケティング分野は、高度なスキルと専門知識が求められる業務が多いため、優秀な人材の確保が競争率の高さから困難とされております。
加えて、マーケティング施策の多様化により、あらゆる施策に通じ、戦略立案から実施、効果測定、改善まで一貫して担える人材を見つけることは容易ではないといえるでしょう。
短期施策と中長期施策どちらも走らせる必要がある
ベンチャー企業は、市場認知度が低いため、即効性のある短期施策が必要です。例えば、SNS広告やキャンペーンを通じて素早く顧客を獲得することが重要です。しかし、短期施策だけでは持続的な事業成長が難しいため、中長期施策も同時に進める必要があります。
中長期施策では、ブランド構築やコンテンツマーケティングなど、長期的な視点で顧客との信頼関係を築くことが重要です。短期施策は即効性があり、収益を早期に生み出すことができますが、中長期施策はブランド価値や持続的な顧客獲得につながります。
ベンチャー企業は、バランスよく短期施策と中長期施策を組み合わせることで、成長につながるマーケティング戦略を構築することが重要です。
マーケティング戦略の立て方(流れ)
ステップ1.市場環境の調査・分析
市場環境の調査分析で対象となるのは、市場・顧客・自社・競合の4つです。市場・顧客を理解することは、ビジネス成功の重要な要素です。市場とは、顧客の集合体であり、自社の商品・サービスが狙う市場の特徴や規模を把握することが必要です。さらに、顧客のニーズや購買プロセスを理解し、適切なマーケティング戦略を展開することが重要です。
自社を理解することも欠かせません。顧客データや過去の施策分析、営業方針などを洗い出し、自社の状況を正確に把握しましょう。特に、顧客生涯価値やLTVの把握は重要であり、これが高ければマーケティング戦略の自由度が増します。競合も見逃せません。競合他社の訴求やプロモーション、顧客層などを分析し、自社の強みや差別化ポイントを見つけることが肝要です。
市場・顧客・自社・競合の4要素を徹底的に分析し、ビジネス展開に生かしましょう。情報収集や戦略策定において、これらの要素を把握することが成功への近道です。
ステップ2.マーケティング戦略の立案
マーケティング戦略の立案において、まず重要なステップは市場環境を正しく把握することです。市場環境を把握できたら、戦略を立てていきます。マーケティング戦略とは、「誰に(Who)・どんな価値を(What)・どのように(How)提供するか」を定義することです。
顧客の集合体である「市場」には、さまざまな課題やニーズを持った顧客が存在します。そのため、自社が注力すべき顧客層を特定し、顧客像を明らかにするために、セグメンテーション、ターゲティング、ペルソナ作成などの手法を活用します。
セグメンテーションは、市場をいくつかのセグメントに分類することを指します。この手法を用いることで、異なる顧客グループを理解しやすくなり、効果的なアプローチが可能となります。さらに、ターゲティングでは、分類したセグメントの中から特に注力すべき顧客層を決定します。この段階で、自社の商品やサービスに最も適した顧客層を選定し、効果的なマーケティング施策を展開することが重要です。
また、ペルソナ作成は、ターゲティングで決定したセグメントにいる顧客を具体的に理解するための手法です。注力するセグメントにいる顧客がどのような会社に所属し、どんな役職を持ち、どんな課題を抱えているかを明確に描き出すことで、よりリアルな顧客像を把握し、顧客に適したアプローチを実現することが可能となります。
以上のステップを踏んでマーケティング戦略を策定することで、顧客ニーズを的確に把握し、適切な価値を提供することができます。顧客との関係構築や競合他社との差別化を図るために、マーケティング戦略の立案は重要なプロセスであり、市場環境や顧客像を深く理解することが成功への鍵となります。
戦略立案の最後は、「どのように提供するか」を決定します。具体的には顧客とのタッチポイントになるチャネルを特定し、コミュニケーション設計を行うことです。ここでは、カスタマージャーニーマップの作成と階段設計を行います。
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品・サービスを認知してから、購買に至るまでのよくある道のりを可視化したものです。各フェーズにおける顧客の行動や態度変容をマッピングすると、顧客視点で施策やコンテンツを設計できます。
また、カスタマージャーニーをもとに、顧客が受注までの道のりをスムーズに進むための階段を作ります。当社では階段設計と呼んでいます。階段設計は、各マーケティング施策からいきなり問い合わせや商談獲得を目指すのではなく、顧客の検討度合いに応じて最適なコンテンツやコミュニケーションを提供することで、顧客との関係性を構築できる手法です。
ステップ3.マーケティング戦略の実行
コンバージョン率(CVR)の向上は、良い商談を営業に引き渡す上で不可欠です。施策を実行する際には、まずコンバージョンポイントの改善に集中すべきです。Webサイトやランディングページがわかりやすくなければ、訪問者がすぐに離脱してしまいます。
この状態は、水を注ぎ続けても穴の空いたバケツと同じです。最初にコンバージョン率(CVR)を向上させ、顧客の離脱を防ぎましょう。
ベンチャー企業が実施すべきマーケティング施策(短期施策)
ここからはベンチャー企業が実施すべきマーケティング施策(短期施策)について解説していきます。
LP制作×リスティング広告
LPの定義には、狭義ではリスティング広告のLPを指しますが、広義ではユーザーが初めて訪れるページという意味があります。今回の場合、狭義のLPを指し、リスティング広告ではクリック後の移動先としてLPが必要になるでしょう。
古いページそのままをLPとして使用することもできますが、効果が薄くなったり、広告が目立たなくなるリスクがあるため、一般的には専用LPが必要となります。LPの利点の1つは、ターゲット層を絞り込んで商品やサービスを効果的に訴求できることです。
通常のウェブサイトは様々な情報が掲載されているため、ユーザーは目的の情報を見つけるのに手間取ります。それに対して、LPでは必要な情報を1ページにまとめることで、ユーザーに効果的な訴求が可能であり、結果的に成果を得ることができます。
比較サイト
最近、企業が製品やサービスを購入する際に比較サイトを活用するケースが増えています。加えて、多くの比較サイトはリスティング広告やSEO対策を実施し、検索ユーザーを引きつける方法として効果的です。
問合せフォーム投げ込みメール
特定企業のウェブサイトのお問い合わせフォームを利用して直接メッセージを送る戦略です。どの企業もお問い合わせフォームからのメールを確認している可能性が高いため、メリットがありますが、「営業お断り」のフォームに連絡するとクレームにつながる可能性もあるため、慎重な検討が必要な戦略です。これらの点に留意しつつ、戦略の実施を検討してください。
ベンチャー企業が実施すべきマーケティング施策(中長期施策)
次に、中長期視点のマーケティング施策とは、見込み顧客を獲得・教育していくマーケティング手法となります。前章でご紹介した短期施策は、広告を止めてしまうと結果がでないのがデメリットですが、中長期視点のマーケティング施策は、資産性があるのが特徴です。
デメリットとしては効果を感じるまで時間がかかるという点です。
具体的な施策を3つご紹介させていただきます。
SEO対策
SEO(検索エンジン最適化)は、自社のWebサイトが検索エンジンで上位に表示されるようにするための施策です。具体例としては、特定の技術サービスを提供する企業の場合、その技術に関連するキーワードで検索エンジンに上位表示されるように対策します。
こういった効果的なSEO対策により、潜在顧客が検索するキーワードで自社サイトが見つかりやすくなり、新規顧客の獲得が可能です。SEOのメリットとしてはオンラインでの可視性が向上すること、費用対効果が高いこと、ターゲットのリーチがしやすいことが挙げられます。
一方、デメリットとしては成果が出るまでに時間がかかること、専門的な知識が必要になること、競合が多い施策のため、しっかりとした成果を得るには時間を要します。しかし、長く続けることで問い合わせや商品の販売促進など、自社の目的を半自動で達成できるのが魅力です。
SEOは企業のオンラインプレゼンスを強化し、市場での競争力を高める重要な手段といえるでしょう。
MA運用
BtoBマーケティングにおいてリードナーチャリングを行う際には、MAツールの活用が欠かせません。MAツールは、「マーケティング活動によって獲得したリードを育成し、商談へと導く自動化または効率化ツール」です。
リードジェネレーションの取り組みで獲得したリードを活用して、商談や成約に結び付けるプロセスにおいて、主にMAツールが活躍します。具体的には、保有しているリードに対して定期的にメルマガを配信したり、Webサイト上の顧客行動をログデータで分析することで、顧客の関心に合わせてマーケティングや営業部門からアプローチするなどの方法が可能です。
ウェビナー
ウェビナーは、リードを多く確保したい企業にとって、費用対効果の高い手段です。自社主催のウェビナーを開催し、外部のイベント集客サイトや広告を活用して告知することで、新たな見込み客の獲得が可能となります。
さらに、外部企業と共同で開催することも有益です。独自性のあるコンテンツが生まれ、集客効果も期待できるため、多くのBtoB企業がこの取り組みに積極的です。
SNS運用
SNSマーケティングは、現代のビジネスにおいて非常に重要な役割を果たしています。SNSを活用することで、SEOでは得られない潜在顧客にリーチしたり、既存顧客をファン化させることが可能です。
SNSのメリットとして、潜在層にリーチできることやユーザーと直接コミュニケーションが取れること、そして情報が拡散されやすい拡散力が挙げられます。一方で、SNSのデメリットとしては、定期的な投稿が欠かせないことや炎上リスクがあることが挙げられます。
しかし、SNSはユーザー同士がコメントやシェアなどを行うことができるため、コミュニケーションが取りやすく情報が拡散されやすいというメリットもあります。SNSを効果的に活用するためには、ターゲットの興味を引く投稿を定期的に行い、認知度を高めていくことが重要です。
ただし、コンスタントな投稿が必要なため、コンテンツを企画・作成する手間がかかることも覚悟しなければなりません。しかしながら、SNSを適切に活用することで、効果的なマーケティング活動を展開し、成果を上げることができるでしょう。
【重要】インサイドセールスの構築
インサイドセールスは、リードにメールや電話などでアプローチする内勤型の営業戦略です。リード獲得後、課題や属性を事前に把握し、「営業に適しているかどうか」を判断することで、営業の効率を向上させることができます。
これにより、フィールドセールスが「訪問したが、受注見込みがなかった」という無駄な行動を減らすことができるでしょう。
まとめ
本記事では、BtoB企業向けのベンチャー企業が成功するためのマーケティング戦略について詳しく説明しました。初期段階のスタートアップはまだ実績に乏しいため、社会的信頼性に欠けることが一般的です。
そのため、単に売上向上を追求するだけでなく、社会的な信頼を築く視点を持つことが、長期的な事業成功の鍵となります。また、先に触れた通り、スタートアップにおいては、効率的かつ効果的なWebマーケティングの活用が有益です。
Webマーケティングに取り組んでいない方は、ぜひ当記事を参考に挑戦してみてください。
さらに広告運用には専門知識が必須ですが、基本となる運用パターンを把握すれば、成功への近道となります。